
松下電器産業の子会社で請負社員として働いていた吉岡力さん(33)=大阪府高槻市=が“偽装請負”を内部告発した後に雇い止めされたのは違法として、職場復帰や600万円の慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は25日、直接雇用の成立を認め、90万円の慰謝料や未払い給与の支払いを命じた。1審は慰謝料45万円のみを認めていた。
判決理由で若林諒裁判長は「請負社員の時期から松下側と黙示の労働契約が成立していた。雇用関係はある程度の継続が期待されており、雇い止めは解雇権の乱用に当たる」と指摘した。
吉岡さん側の弁護士は「工場労働者の偽装請負で直接雇用を認めた高裁判決は初めて。画期的」としており、同様の事例にも影響を与えそうだ。
判決によると、吉岡さんは「松下プラズマディスプレイ」茨木工場(大阪府茨木市)で、業務請負会社の社員として2004年1月から勤務。05年に偽装請負を大阪労働局に申告し、労働局は是正指導した。
その後同社は吉岡さんを有期で直接雇用したが、ほかの従業員と隔離された部屋で必要性の低い作業を命じられ、06年1月に実質的に解雇となる雇い止めをされた。
判決は、偽装請負となる請負会社と松下側の契約は「脱法的な労働者供給契約として強度の違法性があり、公序良俗に反し無効」と判断。吉岡さんが松下側の従業員から直接指示を受けていたことなどから、黙示の労働契約があったと認めた。
また、松下側が必要性の低い作業を命じたのは、内部告発に対する「報復などの不当な動機だったと考えられる」と指摘した。(共同通信)